mochaのブログ

コーヒー好き 特にモカコーヒーが好きな昔の乙女のとりとめのないブログです。

五島美術館のミュージアムコンサートで弦楽四重奏を聴く

東京・世田谷区の五島美術館のミュージアムコンサートへ行ってきました。毎年別館講堂で開催されている、弦楽四重奏の演奏会です。
今回の曲目は、モーツァルト作曲・弦楽四重奏曲第22番「プロシア王第2番」、シューベルト作曲・弦楽四重奏曲第12番「四重奏断章」、ベートーヴェン作曲・弦楽四重奏曲が15番でした。私はピアノの演奏会に行くことは時々あっても、弦楽四重奏の演奏を生で聴くことはめったにないので、この日を心待ちにしていました。
当日は早めに行ったつもりでしたが、開場の30分くらい前には既に大勢の客が並んでいました。定員200名のチケットはすべて売り切れたので、人気があることがうかがえます。

そして開演。エアコンのよくきいた涼しい室内で弦楽器が奏でる音は、外の暑さをすっかり忘れさせてくれました。
モーツァルトの弦楽四重奏曲は、古典的な形式を踏襲したうえで、モーツァルトらしい軽やかさがあふれていました。
シューベルトの弦楽四重奏曲は楽章が1つしかなく、歌曲「魔王」を思わせるような不気味なフレーズが印象的でした。ピアノ曲の「即興曲」や「楽興の時」とはひと味もふた味も違った趣があります。

ベートーヴェンの弦楽四重奏曲は晩年に作られたもので、とにかく難解でした。音を聞こうとしているうちに、いつの間にか曲が終わってしまったような感じです。ベートーヴェンの晩年の作品には、何かの次元を超えて、ある種の境地に達したような深遠さがあります。ピアノソナタ第29番「ハンマークラヴィーア」や同32番にもこのような深みが感じられますが、弦楽四重奏曲第15番はそれ以上に深遠で難解でした。
演奏が一通り終わったところで、アンコール曲が2曲演奏されました。1曲目はソナタ形式だったので、弦楽四重奏曲の第1楽章だとわかりましたが、作曲者や作品番号はわかりませんでした。2曲目は童謡の「夕焼け小焼け」を弦楽四重奏曲にアレンジしたものです。単純なメロディーでも、アレンジによっては深みのある音に変わるものだ、と聞きながら妙に感心していました。
ともあれ難解な曲の後、アンコールにわかりやすい曲が演奏されたのはとてもよかったです。聴く側として、ほっと安心できました。演奏者のセンスや聴衆への配慮が、選曲から感じられます。

さてコンサートは午後2時に始まり、終わったときには4時を回っていました。美術館では「料紙のよそおい」という展覧会が開催されていましたが、閉館時間まで1時間を切っていたので、展示作品を見るのは後日に回すことにしました。そして庭園を散策しながら、コンサートの余韻に浸りました。